分析の原理

電位差自動滴定装置の原理
				滴定装置ってどんな装置?
					滴定とは、試料に濃度のわかっている試薬の溶液を作用させ、反応した試薬の体積から定量を行う分析手法です。 従来は、ガラス製のビュレットで試薬を滴下し指示薬の色の変化で終点を判断していました。 それを自動で試薬滴下、終点判断し濃度計算までしてくれるのが「電位差自動滴定装置」なのです!
電位差自動滴定装置の測定原理
					試料内の測定目的物質と濃度既知の試薬が定量的に反応することを利用し、試薬を滴下し当量点までの試薬消費量より試料中に測定目的物質がどのくらい含まれているかを測るために行います。
手分析では指示薬を用いて、色の変化で当量点(終点)を検出します。
また、滴定装置では電極で電位(pH)の変化で当量点(終点)を検出します。
滴定装置はどこで使われるの?
化学工業
【品質管理・検査・試験・研究】
上水
【分析・試験】
石油製品
【品質管理・検査・試験】
製薬・医薬品・化粧品
【品質管理・開発】
油脂
【検査・製造・開発】
食品・食品加工
【品質管理・分析・試験】
めっき業界
【検査・製造・開発】
どの業種においても品質管理・検査・試験関連の部署で使われています。
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電位差自動滴定装置
					滴定装置の導入メリットは?
測定データの信頼性が向上する。
高精度な電動ビュレットやセンサーを使用しているので、データの信頼性がアップします。
個人誤差が無くなる。
同じ試料を測定してるのに差が出る、手分析なら当たり前ですが、装置に任せれば誰が測定しても同じ値が得られます。
自動化が可能。
多検体チェンジャなどのオプションを使用すると、試料を並べておけば後は勝手に測定してくれます。
経験や特殊な技能がなくても測定できる。
分析の中には、熟練した技や長年の経験が必要なものもあります。装置は使い方を覚えれば、皆同じレベルの分析者です。					
どんな分析をしているの?
化学工業分析
| 分析項目 | 分析方法 | 適用規格 | 
|---|---|---|
| サリチル酸の純度 | 酸塩基滴定 | JIS K8392 | 
| ほう酸の純度 | 酸塩基滴定 | JIS K8863/ISO 6353-3 | 
| 安息香酸の純度 | 酸塩基滴定 | JIS K8073 | 
| 塩酸 | 酸塩基滴定 | JIS K8180/ISO 6353-2 | 
| ぎ酸 | 酸塩基滴定 | JIS K8264 | 
| 硝酸 | 酸塩基滴定 | JIS K8541/ISO 6353-2 | 
| 酢酸 | 酸塩基滴定 | JIS K8355/ISO 6353-2 | 
| 水酸化ナトリウム溶液 | 酸塩基滴定 | JIS K8576/ISO 6353-2 | 
| 炭酸ナトリウム溶液 | 酸塩基滴定 | JIS K8625/ISO 6353-2 | 
| 硫酸 | 酸塩基滴定 | JIS K8951/ISO 6353-2 | 
| よう素溶液 | 酸化還元滴定 | JIS K8920/ISO 6353-2 | 
| 塩化鉄(Ⅲ)六水和物の純度 | 酸化還元滴定 | JIS K8142 | 
| 次亜塩素酸ナトリウム溶液の濃度 | 酸化還元滴定 | JIS K8001 | 
| 塩化マグネシウムの純度 | キレート滴定 | JIS K8159/ISO 6353-2 | 
| 炭酸ナトリウムの酸解離定数 | 酸塩基滴定 | 
食品分析
| 分析項目 | 分析方法 | 適用規格 | 
|---|---|---|
| オレンジジュースの酸度測定 | 酸塩基滴定 | 果実飲料のJAS/ISO 750 | 
| ぶどうジュースの酸度測定 | 酸塩基滴定 | 果実飲料のJAS/ISO 750 | 
| りんごジュースの酸度測定 | 酸塩基滴定 | 果実飲料のJAS/ISO 750 | 
| レモン還元果汁の酸度測定 | 酸塩基滴定 | 果実飲料のJAS/ISO 750 | 
| ウスターソースの酸度測定 | 酸塩基滴定 | ウスターソース類のJAS | 
| リンゴ酢の酸度測定 | 酸塩基滴定 | 食酢のJAS | 
| ウスターソースの酸度測定食塩分の測定 | 沈殿滴定 | ウスターソース類のJAS | 
| 醤油中の食塩分の測定 | 沈殿滴定 | 醤油のJAS | 
| レモンティー中のビタミンC | 酸化還元滴定 | 果実飲料のJAS | 
| 清涼飲料中のビタミンC | 酸化還元滴定 | 果実飲料のJAS | 
| 赤ワインの酸度測定 | 酸塩基滴定 | 国税庁所定分析法 | 
| 白ワインの酸度測定 | 酸塩基滴定 | 国税庁所定分析法 | 
| 酒類の総酸(遊離酸) | 酸塩基滴定 | 国税庁所定分析法 | 
| 清酒のアミノ酸 | 酸塩基滴定 | 国税庁所定分析法 | 
油脂分析
| 分析項目 | 分析方法 | 適用規格 | 
|---|---|---|
| 油脂のけん化価 | 酸塩基滴定(非水) | JIS K0070/ASTM D5558/油脂基準分析法(Ⅰ) | 
| オレイン酸の酸価 | 酸塩基滴定(非水) | JIS K0070 | 
| オレイン酸のよう素価 | 酸化還元滴定 | 基準油脂基準分析試験法/ISO 3961/JIS K0070 | 
| オレイン酸の過酸化物価 | 酸化還元滴定 | ASTM D1959/ISO 3960 | 
石油製品分析
| 分析項目 | 分析方法 | 適用規格 | 
|---|---|---|
| 潤滑油の全塩基価測定 | 酸塩基滴定(非水) | JIS K2501/ASTM D2896/ISO 3771 | 
| 潤滑油の全酸価測定 | 酸塩基滴定(非水) | JIS K2501/ASTM D664/ISO 6619 | 
| シクロヘキセンの臭素価測定 | 分極滴定 | JIS K2605/ISO 3839 | 
製薬・医薬品分析
| 分析項目 | 分析方法 | 適用規格 | 
|---|---|---|
| 胃腸薬中の炭酸水素ナトリウム | 酸塩基滴定 | 日本薬局方 | 
| 殺菌薬中の塩化ベンザルコニウム | 酸化還元滴定 | 日本薬局方 | 
| 塩酸インデノロール | 酸塩基滴定 | 日本薬局方 | 
| クロルプロパミド錠 | 酸塩基滴定 | 日本薬局方 | 
| サリチル酸 | 酸塩基滴定 | 日本薬局方 | 
上水試験
| 分析項目 | 分析方法 | 適用規格 | 
|---|---|---|
| 水道水の全硬度測定 | キレート滴定 | JIS K0101/ASTM D1126/ISO 6059 | 
| 水道水のカルシウム硬度の測定 | キレート滴定 | JIS K0101/ASTM D1126/ISO 6058 | 
| 水道水のマグネシウム硬度の測定 | キレート滴定 | JIS K0101 | 
めっき液分析
| 分析項目 | 分析方法 | 適用規格 | 
|---|---|---|
| めっき液中の酸化クロム(Ⅳ)(無水クロム酸) | 酸化還元滴定 | |
| ニッケル(めっき)液中の塩化ニッケル | 沈殿滴定 | |
| 銀めっき液中の銀 | 沈殿滴定 | |
| 亜鉛めっき液のNaCN | 沈殿滴定 | |
| 銅めっき液のCu,CuCN | キレート滴定 | |
| はんだめっき液中のすず | 酸化還元滴定 | 
中和滴定とは?
[中和滴定]
酸といわれる代表的な物質には、塩酸・硝酸・硫酸などがあります。
これらの酸は、青色のリトマスを赤色に変えるほかに、マグネシウムなどの金属と反応して水素を発生する共通な性質があります。
酸は、次のように電離して、水素イオン(H+)を生成します。
例えば、塩酸は
HCl → H+ + Cl-
のように電離します。
また、アルカリは、赤色のリトマスを青色に変えるほかに、酸と反応して酸の持つ性質を失わせる働きをもっている物質です。
アルカリといわれている代表的な物質には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどがあります。
アルカリは、次のように電離して、水酸化物イオン(OH-)を生成します。
例えば、水酸化ナトリウムは
NaOH → Na+ + OH-
のように電離します。
塩酸(HCl)に水酸化ナトリウム(NaOH)の溶液を少しずつ加えていくと、酸が示す性質は次第に弱くなり、ついには酸の示す性質もアルカリの示す性質もともに失われた状態になります。このような状態に達したとき中和点に達したといいます。
[塩酸]
HCl ⇔ H+ + Cl-
H+ + OH- → H2O
[水酸化ナトリウム]
NaOH ⇔ Na+ + OH-
中和点に達したときの水素イオン濃度と水酸化物イオンの数についてみると、酸が出した水素イオンの量とアルカリが出した水酸化物イオンの量は等しくなっています。
酸とアルカリとの反応を中和反応といい、この反応を用いて、濃度のわからない酸またはアルカリの量を求める方法を中和滴定といいます。