2024年産原料米を主に使用した令和6酒造年度の造りは、予測通り米は溶けずに終了した。
「春すぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香具山」と読まれた様に、また子供の時分に朝から
「トンボ釣り」昼めし後には「セミを捕まえておしっこを掛けられる」夏が待ち遠しい昔とはほど遠い
2025年の短い梅雨はあっという間に終わり、昨年にまして暑くて長い長い夏が来た。

https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html
1.2024年産米の消化性が著しく悪かった。今年も異常に暑い夏を過ごしている。新米への対応策を考える事は、
非常に大切な事と思うのだが頭をひやして、夏の気温が高いと植物体内の代謝活動である「光合成」の合成と分解
に不具合が生じている。「木を見て森を見ない」ということわざもあるし、太陽エネルギーと地球の関係さらには
地球上の生命体を考えてみる。宇宙の広がりを表現するときに、限りはあるが、果ては無いといわれる。地球は、
銀河系内太陽系に属する惑星で、地軸を23.4度傾けつつ自ら自転しながら地球時間で365日を掛け公転している。
自転に要する一周期を一日といい、太陽が見える昼間と、暗い空に月が浮かぶ夜に分け、24時間とする。また、
地軸の傾きにより、北半球や南半球では太陽へ向く方向が変わり太陽光の角度や日照時間が変化し季節が生じる。
植物は太陽の光の持つエネルギーを葉や茎にある葉緑体内のクロロフィルという緑色の色素で光合成を行い有機物
として取り出し貯蔵し、自らの生命活動を維持し、他の生物を捕食せず、自らの犠牲により、地球上の生物全体の
生命活動を支えている。地上に降り注ぐ太陽光エネルギーは全体では、膨大な量になるが、単位面積あたりで見ると
密度は非常に薄い。その希薄なエネルギーを有効に集める手段として植物は歩行できず、いる場所でそれぞれ受光形
に適した今の姿に進化したと言える。人も動物もエネルギーの源を遡れば、最終的に太陽からの光にたどり着く。
石炭、石油、天然ガス、水力発電、あらゆるモノが、過去から未来へ太陽のエネルギーの恩恵を受けている。太陽光は、
地球に降り注ぐが、オゾン層、エアロゾル層、炭酸ガスや水蒸気により大気を通過し地上へ届くのは、可視光線と赤外線
の一部になる。地球のエネルギーの収支は、受ける可視光と出て行く赤外線のバランスで保たれている。

2.2021年のノーベル物理学賞は、プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎博士が世界の気候変動の研究
(Manabe and Wetherald, 1967)に貢献した功績で受賞された。真鍋博士は、1960年代から複雑な気候変動に
ついてシンプルなモデルを作り、世界で最初に、地球温暖化の数値計算を行った人でもあります。地上から10km
までの対流圏においては上空ほど気温が下がり、高度10〜20kmの成層圏低層においては気温が一定となり、
高度20〜50kmにおいては高度が高いほど気温が上昇するというモデルは、実際の測定値にほぼ合致する。
続いて真鍋博士はこのモデルを使って、温室効果ガスの役割をシミュレーションする研究に取り組み、1967年に、
二酸化炭素は大気中の0.04%の成分でしかないが、二酸化炭素の分子は「赤外線」を吸収・放出する性質があり、
同時に赤外線は電磁波の一種で、伝播することでエネルギーを運べる。さらに「大気中の二酸化炭素濃度」が2倍
になると地表付近の気温が2.36℃上昇すること、1/2になると2.28℃低下することを示しました。地球の表面
は赤外線のエネルギーを放出し、冷えようとするが、大気中に存在する二酸化炭素などの「温室効果ガス」が、
逃げようとする赤外線を吸収し、また赤外線を放出するが、放出された赤外線の一部は地表面に逆戻りし、
温室効果ガス(CO2)により地球を暖める。最初はほんの少しの気温の上昇がもたらす効果は連鎖し、水の惑星で
ある地球では、海水面からの「水蒸気」の大量発生につながり水蒸気の連鎖が、さらなる温室効果を生み、
現在各地で頻発している線状降水帯が引き起こす短時間集中降雨による内水氾濫につながっている。

田植え
3.太陽の恵み
太陽光:光合成は太陽から地球に降り注ぐ光のエネルギーを植物は、葉で受け空気中の無機炭素を有機炭素に同化し
茎や種子に糖質やデンプンに合成して貯蔵しエネルギーの使用可能期限を延長し保存している。このコピーモデルが、
太陽光発電パネルとバッテリーに相等しい。
光は粒子であり、電波の要素を併せ持ち、同時に人の目に感じる外側に広がりを持っている。

地球に届く光の可視光とは、人の目が感じる光の幅(範囲)をさす。

・植物の光合成に使われる光線は電波の性質と粒子の性質を併せ持っている。
・葉に光が当たるとデンプンができる。葉の葉緑体によりデンプンができる。光合成を担う(葉緑素)クロロフィル
には二つのタイプがあり、吸収波長を見ると特異的に吸収が無いバンドがある。陸上植物は太陽光のうち、
「赤系統の光」680nmと「青系統の光」440nmの二つの波長を主に利用して「光合成」をおこなっている。
その中間の可視光線で「緑」の部分をあまり吸収しないため反射が生じ、私たちの眼には植物は、「緑」に見える。
4.光合成の仕組み

・光合成では光のエネルギーを利用して、根から吸い上げた水を分解して水素と酸素を作り、利用しない酸素を出す。
その時作られる「ATP」と「NADH」がカルビン回路へ伝達され、空気中の二酸化炭素と固定され有機物が合成される。
イネの光合成
・イネは進化した植物において、単子葉植物の完成形ともいえる光合成を行う条件を満たし、風にそよぎ、蒸散を促す
しなやかで受光に優れた体型をしている。光合成を行う場所は、茎および葉肉細胞に数多くある葉緑体で行われ、
原形質流動により細胞内を移動する。稲の葉は、上位葉ほど高い光合成能力を持ち、止葉の光合成の活性が収量に
大きく影響を及ぼす。

・水と光合成産物の輸送
陸上植物は、根・茎・葉(花)から構成される。
稲の場合は、根・茎は極めて短く地上部すれすれに位置し、茎に見える部分は、葉鞘とよばれ、葉が筒状に変形した
構造体で軽量かつ曲げに強い構造になっている。葉はリボン状で風になびき細く、しなやかで剛性もある。気孔は、
茎葉及び葉身の両面にあるが、裏側が多い。水は根から導管により運ばれ、光合成産物を運ぶ事により植物体を維持
している。根等、光合成を行わない部位の必要なエネルギーの供給は、他の組織から運んだ光合成産物を呼吸(酸素)
で分解し利用する。光合成産物を他の組織へ異動させることを「転流」という。
・「気孔」の開閉

・光合成を活性化するには、炭酸ガスの取り込みが必要だが、同時に「気孔」から水分が蒸発する。米粒の充実を決定する
光合成の活性化維持には、「水分」の供給が非常に重要な鍵を握る。イネは水田にあり十分な水の供給は可能であるが、
送水のポンプを有しているわけではない。水分は根から導管を通じて供給され、水の供給に最も不可欠な要素が蒸散を
助ける風である。風は太陽光で地表にもたらされるエネルギーの不均衡により生じる。兵庫県内の山田錦の圃場で有名な
東上地区は、地形に恵まれ朝の海風、夜の陸風に恵まれ、終日素晴らしい風が通り抜ける。さらに風は蒸散により光合成
の過程で生じる発熱を蒸発潜熱として利用し稲体の冷却を妨げる境膜の発生を未然に予防している。光合成は日夜安定して
営まれ粒厚の厚い幅の広い素晴らしい千粒重の山田錦が作られる。
コラム勝木氏 コラム

勝木氏 コラム
第二十五話 「米の消化性不良から見える景色」前編
日本酒醸造界のレジェンド、勝木慶一郎氏による連載コラム第二十五 前編です。
米の消化性について詳しく解説頂いてます。
代掻き終わった静かな早朝
勝木 慶一郎氏 紹介
・醸造家酒造歴:50年、佐賀 五町田酒造45年、京都 松本酒造5年
・特技:酒造工程の改善、SDKアルコール分析法の考案
・趣味:写真機、世界中のBeerを一種類でも多く飲む、真空管ラジオで短波放送を聴く