コラム勝木氏 コラム

勝木氏 コラム

第二十話「“Pasteurization”と火入れ」

日本酒醸造界のレジェンド、勝木慶一郎氏による連載コラム第二十話です。
今回は、「火入れ」について古い文献などを用い詳しく解説して頂いています。

INSTITUT PASTEUR
          INSTITUT PASTEUR


【INSTITUT PASTEUR】
 清酒の火入れを話題にする時、なぜか、パスツール博士による「パスツーリゼイション」について話しが及び我が国の清酒の
「火入れ」は更に遡る長い歴史を持っているとついつい語られる。
花の都パリには、パリ駅という名の中央駅は無く、随分昔には存在したそうだが現在は、山の手線の様に地上で駅を繋ぐ環状線も無い。
独立した駅は、櫛形に配置されたホームを持つ頭端式で作られている。
Nord、Est、Gare-deLyon、Austerlitz、Montparnase、S’-Lazareからフランス国鉄(SNCF)運行のTGV(高速鉄道)TER(普通)で
フランス全土、またシャルルドゴール空港へRER(高速地下鉄線)が伸びている。その代わりにパリは地下鉄網が発達している。
パリの地下鉄は、エクトール・ギマールの意匠によるアールヌーボー形式による地下入り口が実におしゃれで、メトロ(Metro de Paris)
と呼ばれている。20世紀の幕開けと時を同じくして、世界中が注目し、花のパリと呼ばれた絶頂期の第5回パリ万国博覧会の開催に合わせ
1900年に1号線が開通した。現在は14号線まで拡張されパリ市民の足となっている。1号線はパリ市内を東西に走り、2号線は旧市内を
北周りに走り、6号線は南周りに運行されている。パスツール研究所(Institut Pasteur)は、メトロ6号線と12号線の交差点に位置し、
パスツール大通りに沿って南に下れば、モンパルナスタワーで有名なモンパルナス駅に辿り着く。隣にある地下鉄駅は、Métro(メトロ)
Montparnasse(モンパルナス)-(-)Bienvenüe(ビヤンヴニュ)と言い、地下鉄建設の技師「メトロの父」(Pere du metro de Paris)
Fulgence(フルジャンス) Bienvenue(ビヤンヴニュ) 氏の名を冠していまも敬意を払っている。



                  plan des itinéraires du métro


パスツール駅で地下鉄を降り、地上に出るとパスツール大道りに面しており、南にモンパルナス駅方面へ5分程下り、南西に通りを折れて
数分でパスツール研究所に着く。当研究所本館は、正面玄関のアーチと合わせ赤レンガ造りの印象的な壁もさることながら、博物館として
保存されている旧研究所には、当時の研究設備のフラスコ、試験管の実験器具から博士の住居、居室も時間を止めた同時代のまま保存され
ている。更に驚くべきは、博士の墓所は旧研究所の地下におりる階段先の聖堂に埋葬されている。

【パスツールの時代】
現在の価値観で時代を遡ることはいささか危険な要素もあるが、後代につながる優れた研究には時代背景なかでも独仏動乱の普仏戦争の敗北が
大きく影を落としていると思える。
永遠の都ローマ、花の都パリと言われ、華やかなパリ万博を繰り広げながらナポレオン帝政の終焉から普仏戦争を経てやがて風雲急を告げる
第一次世界大戦へ、欧州の華麗で不穏な時代を「現場を識る」研究者として生き抜いた。

-フランス近代略年表-
・1804 ナポレオン民法典 ナポレオン皇帝として即位
・1806 ベルリン勅令(大陸封鎖令)
・1814 ナポレオン退位
・1824 シャルル10世即位
・1830 7月革命 立憲君主制へ
・1848 2月革命 第二共和制成立 ルイナポレオン大統領
・1852 ルイナポレオン皇帝即位 第二帝政
・1855 第一回パリ万国博覧会開催
・1867 第二回パリ万国博覧会開催 
・1870 普仏戦争勃発 第二帝政崩壊  
・1871 ドイツ皇帝即位 パリ開城 アルザス=ロレーヌ地方3県を割譲 パリコミューン 
・1875 第三共和政憲法成立
・1881 ジュール・フェリー法制定(初等教育義務、無償化)
・1884 ヴァルデック・ルソー法制定(労働組合の承認と失業基金創設)
・1889 ブーランジェ事件 第三共和政に対するブーランジェ将軍のクーデター未遂事件

・1914 第一次世界大戦勃発

-ルイ・パスツール[Louis Pasteur:1822-1895]の生涯-
・1822年12月27日、フランスの東部地区フランシュコンテ地方のドール町(ボーヌ市・ディジョン市近郊)にジャン=ジョセフを父、
 ジャンヌ=エティエネット・ロキを母に4人兄弟の二番目で唯一男子として誕生した
・1840年バカロレア[Baccalauréat](大学入学資格試験)に合格。(1808年ナポレオン導入)
 1843年エコール・ノルマル・シュペリウール[École normale supérieure:ENS](高等師範学校)に入学し、化学と物理を専攻し
 実験室での作業に楽しみを覚える。講師であるジャン=パティスト・ヂュマの実験助手を務め、やがて研究者の道を志すようになる。
 (19世紀のフランスの学校制度では、理工系の優秀な学生は、エコール・ポリテクニーク[École- polytechnique:X]を卒業し、
 国家公務員の科学者として応用化学、軍隊、農業技術者へ進む道が開かれ、エコール・ノルマルの卒業生は中等学校の教師への道が
 用意されていた。)
・1846年教員免許合格するが、パリに留まりたいおもいで、化学者アントワーヌ・ジェローム・バラール[Antoine Jerone Balard:1802-1876]
 の実験助手に採用される。やがて結晶構造の研究に取り組み酒石酸とラセミ酸の研究により光学活性を持つ有機化合物と対応する結晶が
 研究の中心となる。
・1847年化学と物理(結晶学)の論文で博士。
・1849年博士論文によりストラスブール大学化学教授として赴任し、5月29日学長の娘マリー・ロランと結婚する。以後46年間氏の秘書兼
 話し相手として家庭と研究活動を支える。
・1852年ラセミ酸の人口合成に成功し1853年レジオンドヌール勲章勲五等シュバリエ章[Chevalier de la Légion d'Honneur,
 cinquième classe.]を授与される。
・1854年リール大学化学教授兼科学部長に就任し一階に自分の実験室を備えた家に移り家族と住む。リールには、当時さとう大根
 (シュガービーツ)からアルコールを作る大規模産業があった。その時、醸造業者ビゴ氏から「ワイン醪の腐造の原因を調べてほしい」
 という依頼を受け、これが彼を生物学、特に微生物学の研究に向かわせる端緒となった。腐造もろみの変調現象を観察し、蔵内の衛生
 環境が大きく影響し酵母のアルコール生産を阻害し、他のバクテリヤの働きが優性になり、酢酸や異臭が作られる事実を確認した。
・1857年パリのエコール・ノルマルの事務局長兼理学部長に就任 乳酸醗酵に関する論文を科学アカデミーに提出(甘い牛乳が酸っぱくなる過程
 乳糖から乳酸に変化する)乳酸発酵が化学的な腐敗の過程では無く、顕微鏡下に存在する微生物による。観察した顕微鏡下の微生物を「乳酵母」
 と名付けた。
・1860年アルコール醗酵まで考えを広げ「醗酵の化学作用は、本質的には生命の作用に関連した現象である。---- 同時に微生物の組織、成長、
 増殖が起こらない限り、アルコール醗酵はあり得ないものと考える」と書いた。―――― 当時の若い科学者としては、大胆な発言をした。
 19世紀の科学者は、醗酵という言葉で糖などの有機物がアルコールと二酸化炭素に変わり、二酸化炭素は泡になって逃げていくと信じていた。
 ドイツの有名な科学者であるユストウス・フォン・リービッヒ[Justus Freiherr von Liebig:1803-1873]曰く、醗酵は腐敗する有機物質
 によって繁樹される化学的過程である。パスツールは20年に渡り醗酵の研究を継続しワイン・ビールアルコール醗酵、ビネガー酢酸発酵、
 バター・チーズの臭いの原因である酪酸発酵「醗酵は有機体の生命の過程で生じる」とした。
・1861年「自然発生説の検討」を著作し、根強い「生命の自然発生説」を「ハクチョウの首型フラスコ」を使い実験を行い否定した。



           実際の白鳥型フラスコは種類が多い


人は目に映る事象を真実と思う傾向は今に至るも変わらない。1674年オランダの眼鏡職人レーウェンフック
[Antonie van Leeuwenhoek:1632-1723]より普通では見る事が出来ない微少な生物を後に光学顕微鏡と
呼ばれるレンズを組み合わせた道具を用いて新たな「微生物」の世界を自分の目で見る事を可能とした。
それでも「うじが湧く」と言われるように肉や魚は自然に放置するとやがてうじが湧き腐るが、新しい生命が
ハエと成り羽ばたく。
こうした現象から生命は天然自然に発生すると思われてきた。聖書の説く世界では、顕微鏡の観察により微細で
下等な単純なる生命体は自然に発生する根拠として補強され自然発生説はさらに補強された。しかし、親がいて
子ができ、子はやがて親に成り親になった子は、子を作る。目に見えるネズミや鳥さらには人であれそうである
ならば、顕微鏡下のバクテリヤにも親がいるのか、自然に発生するのか堂々巡りは教会の神父の間で議論された。
1861年フランスの誇る細菌学者ルイ・パスツールはこの論争に決着を付ける素晴らしいアイデアを用いた実験装置
を考案しその結果を公表した。
「パスツールの白鳥フラスコ」と後に呼ばれる実験である。
実験装置は図のように実にシンプルで丸底フラスコにコンソメ・スープを入れ直火で十分沸騰させる。ここまでは、
すでに普通の家庭においてもスープの残りに火を入れて翌日のメニューにする事は知られていた。ここでパスツール
は同じ条件の十分加熱したフラスコを二組用意し、一つはそのまま放置させ、もう一組は加熱した状態で先を細くした
ガラス管S字状に曲げて内部と空気が通う状態で図のように接着した。結果は我々が学校で習った様に口を加工せずに
放置したフラスコ内部のスープは数日後やがて濁り始め臭いも変化し腐っていった。他方口をS字状に加工したスープは
時間が経っても透明を保ち濁りもせず腐ることは無かった。





 口を閉じずに放置されたスープには空気中の塵に含まれる微少な生物がスープに作用したと考える事に落ち着いた。
 今風な言葉にすれば腐敗は微生物の混入により生じる。パリのパスツール研究所旧本館にある博士の実験室には実物
 のフラスコがやや黄色みを帯び実験台に今も当時そのままにあった。
 この実験が人の目に見える形でレーウェンフックの顕微鏡下に存在する微生物を見せ、博士による酵母によるアルコール
 発酵の証明、さらにドイツが誇る医学博士コッホによる病原菌の発見は、微生物が有用であれば「醗酵」不必要であれば
 「腐敗」更に人体に害毒をもたらせば「病原菌」と呼ばれるようになった。
 現在でもこの実験が子供心に科学精神の発露をもたらす大きな理由は普段家庭の台所にあるような実にシンプルな道具を
 用いて人の目に微生物の存在を示したことにある。やがて海外に留学した我が国の細菌学者により次々と成果は重ねられ
 ていく、北里柴三郎による破傷風菌の純粋培養、ペスト菌の発見、志賀潔による赤痢菌の発見、野口英世による
 梅毒スピロヘーターの研究、黄熱病の病原菌の発見と血清療法の開発研究と続く。しかし、やがて珪藻土(セライト)
 を焼き固めた細菌用濾過機をすり抜ける「何ものか」が病原性を持つことが段々と解ってきた。ウイルスは、和名では、
 filterable virusを訳して「濾過性病原体」と書く。今では、野口英世博士の客死は、熱帯シマ蚊が媒介する黄熱病
 ウイルスに感染した事が原因と特定される。
 このように極微細な濾過性病原体を「ウイルス」と呼んでいる。2019年以降新規なウイルス感染症に世界中が漠然たる
 不安の中にいる。
 無生物から生物が生まれることはあるのか?このテーマは、醗酵に関する理論から必然的にたどり着いたと考えられる。
 当時の科学者は、酵母等の微生物は醗酵している物質から直接生まれてくると確信していた。主な理由として、
 ①生命の創造に対するキリスト教神学の影響下②何かが「起こり得ない」ことを証明することは難しい。③実験には細心の
 注意と卓越した技術を必要とする。④当時は微生物の性質が不確実だった。パスツールの顕微鏡下の観察などの努力、
 顕微鏡の進歩、細胞学の進歩等から微生物には他の動植物同様に親がいると主張を曲げなかった。
・1862年4月20日、パスツールとクロード・ベルナール[Claude Bernard:1813-1878]は、後にパスチャライゼーション
 (低温殺菌法:火入れ法)と呼ばれる初めての実験を行った。
 現在の清酒醸造の殺菌工程における「火入れ」と同様な作業方法で、出来立てのwineを100度以下の60度程度の低温に
 60分程保持すれば、アルコール分の散逸を防ぎ、香味の変化も少なく、安定した品質を十分保てる事を示した。
 パスツールに因み pasteurization(パスチャライ ゼイシヨン)と呼んでいる。
 清酒の「火入れ」殺菌法は文献上では、さらに300年程さかのぼるとされるが「火入れ」を殺菌効果ある科学技術として証明した。
・1862年科学アカデミー正会員選出
・1866年『ワインの研究』出版  ETUDES “SUR LE VIN” SES MALADIES CAUSE QUI LES PROVOQUENT PROCEDES NOUVEAUX
 POUR LE CONSERVER ET POUR LE VILLIR 
・1867年『ビールの研究』を出版 ビールの品質を落とす微生物の特性を明らかにした。酵母を純粋に保ち、不要な細菌の繁殖を
 防ぐとした。
・1867 第二回パリ万国博覧会 ワインの研究でグランプリ受賞
 現在から当時のヨーロッパの醸造業界を俯瞰すれば、母国フランスのワイン醸造よりも、むしろお隣ドイツのビール醸造に
 パスツールの考えは応用された。
 ビールの近代化に大きく寄与した技術上の貢献は、他に1873年カール・フォン・リンデ
 [Carl Paul Gottfried von Linde:1842-1895]による「アンモニア式冷凍機」の実用化により更に低温を求め製氷から冷凍機へ、
 さらに1883年にエミール・クリスチャン・ハンセン[Emil Christian Hansen:1842-1909]による単一酵母の分離「酵母純粋培養法」
 が完成し三つの技術革新により今に至る本当に美味しく、安く、気軽にいつでも、誰でも飲めるラガー・ビールが誕生した。
 母国フランスに於いては、ワインの専門家は低温殺菌法を好まず、大半のワインは保存料として今に至るも硫酸塩が添加されている。
 低温殺菌法は、牛乳の品質保持流通に応用され、「パスチャライズド牛乳」と呼ばれている。更に大きく3つのタイプに進化し、
 低温保持殺菌(LTLT法):63℃で30分間加熱殺菌する方法。高温短時間殺菌(HTST法):72℃から78℃で15秒間程度加熱殺菌する方法。
 更に高温瞬間加熱殺菌法 (UHT法):105℃を5秒保持によるウルトラプロセス殺菌法としてパック牛乳の流通方法として今日世界中に広く
 普及している。
・1878年クロード・ベルナールの反論 パスツールは、醗酵は生き物の作用と断定、ベルナールは、醗酵には生きた細胞の存在は必ずしも
 必要ないとした。パスツールの死後、細胞内部の酵素分子により細胞が死んだ後も醗酵作用はあるとされた。
・1881年11月パスツール研究所完成
・1895年 レーウェンフック・メダル受賞 パリ近郊マルヌ=ラ=コケットで逝去72歳 
 19世紀では、まだ化学繊維の発達は見られず、主要な産業はフランス、日本でも等しく絹織物産業に委ねられていた。フランス第2の都市、
 リヨン[Lyon]も織物の中心の都市であり当時三井物産の最初の欧州支店もこの地に置かれた。さて、パスツールは、当時原因不明の蚕の
 大量死が発生し究明に当たっている。
 体調を崩しつつも、その原因が蚕の幼虫に感染した菌を特定し予防法を示しフランスの基幹産業を救った。更に、パスツールの偉大な功績は、
 微生物の中でも細菌類が人や動物に感染し、いろいろな病気の原因である事を示す考え方を発表した。当時 、英国のエドワード・ジェンナー
 [Edward Jenner:1749-1823]の考案による「種痘」を用いる(1798年)「天然痘」予防接種法は既に知られていたが、新たに病原性の
 細菌を健康な動物に接種し弱毒化を進め、体液を元に連続した接種を行い「免疫」を獲得する「生ワクチンの接種法」予防法を開発し、
 「狂犬病」の予防に成功した。フランス政府は、博士の長年にわたる国民への貢献、農産物ワインや絹織物、医学による人命の救済に感謝し、
 「パスツール研究所」を贈ることを決定した。発表により世界中から寄付金が寄せられ 1888年完成を見た。
 現在においても「微生物」と「病原菌」の研究は、120年にわたり継続されており、難病の犯人エイズウイルスを世界に先駆けて発見したのも
 パスツール研究所である。
 パスツールは、多くの名誉を手にしたが、博士は「人に名誉を与える職業があるのではなく、むしろその職業を名誉と思う人がいるのである。」
 と述べた。

【SUR LE VIN】
『ワインの研究』の原書を読もうとしたら、パリの古書市では、800ユーロした。とても手が出ないと思った矢先 Internet Archive is a non-profit
 library of millions of free books, movies, software, music, websites, and more. なるサイトにアーカイブとして保存されている事を
 教えて貰った。
 
蔵書スタンプから、Bibliothèque Université de Bordeaux 1896年創立ボルドー大学図書館蔵
https://archive.org/details/tudessurlevins00past/page/n1/mode/2up

また、パリにある国立図書館のホームページにパスツールの研究に関する記事があり参考にした。
https://gallica-bnf-fr.translate.goog/blog/25112022/des-fermentations-la-pasteurisation-les-travaux-de-pasteur-sur-le-vinaigre-le-vin-et-la?mode=desktop&_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=wapp

早速「ワインの病気、それらを引き起こす原因とワインを保存および熟成させるための新しいプロセスに関する研究」は、
ページ数が543ページあり、「目次」と「火入れ」に関する部分の訳を試みた。



                “SUR LE VIN”
フランスの本は「目次」が最終543-544 2ページにありDeepLで翻訳してみた。 全頁544


 
 BIBLIOETEQUE UNIVERSITAIRE BORDEAUX        貸し出し表



                目次1ページ目
第1章には、顕微鏡下のスケッチが多く収録されていて、図版が素晴らしく丁寧かつ上品。



                目次2ページ目
最終頁に蔵書スタンプが押してある。最後の貸し出しが、2007年からしてその後はPDFによる電子書籍に移行したとも考えられる。
この本の存在を知ったのは、糸島市立図書館で 「ルイ・パスツール」(無限に小さい生命の秘境へ)を借りて読む中で出会った。
電子書籍も大変に有り難いが、知らない本にめぐり会える公設図書館の「開架式」の魅力は、未だに尽きない。


第2版の概要.
第2版の序文、
第1章-ワイン腐造の原因
はじめに -1
ワイン腐造の原因に関する初期の見解-4
ワインの腐造の原因に関する新しい見解とその説明-腐造の説明-11
ワインの変調- 酸敗ワイン、苦いワイン、異臭なワイン-12
ワインの変質、褐変、過塾老香など-31
脂肪酸臭による変調。-油臭がするワインなど-37
苦味のあるワイン。- 苦い、古酒臭いワインなど。
第2章-空気中の酸素、ワイン醸造における
ワイン醸造における空気中の酸素の影響 -78
ワインとブドウ果汁に含まれるガスの性質に関する研究-87
第3章-ワインの保存
ワインを保存するために提案された経験的方法-125
加熱によるワインの保存 - この問題の歴史-150
加温の効果の実験的実証-156
パスツールの実験の結果 ワインの保存について-163
実験の実施方法-196
付録 メモと書類-262
ワインを加熱するための工業設備-204
付録-注釈と資料
ブドウ果汁の全酸度 -265
ワインの全酸度の測定-265
1 - ブドウ果汁中の糖分-266
酒石酸の新しい測定法-267
マスト発酵における通気性の影響-277
シャンパーニュにおける泡の生成への通気性の応用-281
アンファリネ種に関するメモ。- 熟成の特異性-284
ワイン中の主な酸を研究する方法の表示 -288
プルサール種に関する注記-290
ワイン中のガムの存在について-293
ワイン中のグリセリンとコハク酸の起源-294
ワインの脂肪分について-298
加熱によるワインの保存方法について-書簡モニトゥール・イウイコール誌への書簡-298
「保存ワインに関する規定」"の1 "版と "2"版からの抜粋-318
ブルゴーニュワイン、「グラン・ヴァン」の悪い苦みについて
-手紙H.ド・ヴェルニュ・ラモット-320
前の書簡に対するコメント-330
ソローニュ中央農業委員会。- M.デュマの報告-334
加熱によるワインの改良について。ソローニュ農業アカデミー報告書からの抜粋。-336

Translated with DeepL

以上が『ワインの研究』の原書から初めに「目次」の和訳を試みた結果です。次に「低温殺菌法」に関する部分を抜き出す。



図40.は私達が普段行っている「瓶火入れ法」とほぼ同様。


                             -訳文-
私の実験で採用した加熱手段を知らせることが私にとって残されています。 業界がより良い方法を知るために、情報提供を目的として
提供しています。 私にとって、それは非常に小規模なテストと科学的結果の観察にすぎませんでした。 ボトル内のワインを加熱します。
— ボトル内のワインを加熱するのは非常に簡単で、コストもほとんどかかりません。 瓶詰めしたばかりのワイン(これが望ましい)
でも実践できますし、健康か不健康かに関係なく、長期間瓶詰めされたワインでも実践できます。 ただ、長期間ボトルに入れたワインを
扱う必要がある場合には、古いボトルを取り出して40年間放置した後、ワインを新しいボトルに移して沈殿物を分離するのが良いでしょう。
-8 時間は、浮遊堆積物を組み立てるための時間を与えます。それぞれのボトルを縛り、湯煎に運びます。 図 40 は、私に提供された
ものを再現したものです。 取り扱いを容易にするために、ボトルは鉄製のボトルバスケットに入れられました。 水はロペインまで上昇
する必要があります。 ボトルを完全に水没させることはありませんでした。 ダウンタイムや部分的な冷却がない限り、そうしても害は
ないと思います。ボトルの中には水が入ったボトルを置き、その下部に温度計のボールを置きます。 希望の度数、たとえば 60 に達したら、
バスケットを取り外します。 すぐに交換しないでください。IV、熱すぎると冷えたボトルが破損する可能性があります。 熱湯の一部を抜き、
残った水に冷水を加えて度数を少し下げます。まず、出されたばかりのお湯にすぐに入れることができるように、2 番目のバスケット内の
ボトルを加熱しました。加熱中のワインの膨張によりコルクが押し出される傾向がありますが、紐 (またはワイヤー) がそれを抑え、ワイン
がコルクとネックの内壁の間に浸透します。 ボトルが冷える間にワインの量が減り、コルクを叩いて再び差し込み、紐を外してワインを
地下室、または 1 階または 2 階の地下室に置きます。床、日陰または太陽の下で。 これらのさまざまな保存方法によって病気になる
心配はありません。 それらは、老化の様子や色などにのみ影響を与えます。 必要に応じて、加熱したボトルのワインと長い間隔で比較できる
ように、同じワインのボトルを数本非加熱で保存しておくと常に便利です。 ボトルは直立に保つことができ、そこに花が咲くことはありません。
しかし、コルクが乾燥して外気が入り込みやすくなった場合、このような状況ではワインのフィネスが少し失われる可能性があります。
新しい経験から、特定のワインはボトルを適切な時間放置するとかなり良くなることがわかりました。その時間はワインの種類ごとに研究する
必要があります。 コルクの孔に空気が入り続けると、ワインは多かれ少なかれ完全に変色し、さらには調理された味がすることがあります。
ボトルを立てて置かなければならない場合は、ボトルを少なくとも60度に加熱することと、いずれのボトルも加熱中にワインが膨張しながら
コルクに接触するため、常にボトルを直立させる必要があることに注意する必要があります。ボトルが適切に充填されている場合に起こります。

ここに示した文章は、DeepLがフランス語から和文へ訳したそのままを記載した。十分こなれた文章として表現できている。AIの導入には慎重
である議論もあるが、言葉の壁を乗り越えて各国、多彩な生活習慣や文化を背景とした多様化への理解が深まることは望ましいと思える。





Sourdeval 氏が想像したこの装置は、独創的なアイデアに基づいています。それは依然として蒸気によって加熱される装置ですが、周囲の空気と
自由に通じているツゲの木の蒸気によって加熱されます。この条件下では空気は 65 度で沸騰します。蒸気と直接接触するワインの部分が液体の
品質を変える可能性のある温度に達することを心配する必要はありません。



                少し工業的な設備



                醸造所のスケッチ


我が国における「火入れ」が相当古い事例として口伝書として、また日記の一部として内向きに記録された資料の存在が確かにある。
しかしながら、この本に書かれている「火入れ」に関する記述は時の国王の要請により、フランスにおける主力輸出品の一つであった
ワインの腐敗防止を醸造の現場を詳細に観察し、未然に防ぐ方法について具体的に研究した成果を公開した本である事が理解出来る。
パスツールは、ワインやシュガー・ビーツの醗酵過程で起きる醪の変調現象を観察し、酵母の担うアルコール醗酵とは別の細菌類が
優勢になり代謝生産物により、我々が望む主たる目的とする「アルコール生産」が阻害される事を見いだした。現代でも清酒に於いても
酵母とバクテリヤの「縄張り争い」は目に見えないが日夜戦われている。次回は、酒母や醪が「腐造」し、「火入れ」した酒が
「火落ち」する。この起こって欲しくない現象を探って見たい。

参考文献
・ルイ・パスツール オックスフォード 科学の肖像 西田美緒子訳 大月書店 2010.12.14
・SUR LE VIN  Internet Archive is a non-profit library of millions of free books, movies, software,
music, websites, and more. インターネットアーカイブ
https://archive.org/details/tudessurlevins00past/page/n1/mode/2up
・パリにある国立図書館のホームページ
https://gallica-bnf-fr.translate.goog/blog/25112022/des-fermentations-la-pasteurisation-les-travaux-de-pasteur-sur-le-vinaigre-le-vin-et-la?mode=desktop&_x_tr_sl=auto&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=wapp

勝木 慶一郎氏 紹介

・醸造家酒造歴:50年、佐賀 五町田酒造45年、京都 松本酒造5年
・特技:酒造工程の改善、SDKアルコール分析法の考案
・趣味:写真機、世界中のBeerを一種類でも多く飲む、真空管ラジオで短波放送を聴く

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