-さお式台秤の取り扱い-
【さお式台はかりの据え付け方法】
① 水平の床に台秤の立筒にある水平器の窓から見える水平棒を使い正確に設置する。
② 次に計量台の四隅を押さえ左右前後に秤が揺れ動かないか確認し敷板で調整固定する。
【ゼロ点調整】
① 計量台にモノを乗せない状態(空掛け)で、「目盛り竿:スケール」の“0”に「送りおもり」を合わせ、
空掛け状態で目盛り竿が水平に位置し釣り合っているか、確認する。
もし、釣り合っていない場合には、目盛り竿の後部にある調子玉のネジで平衡を取る。
【計量】
① 計量する場合には、モノは計量台の中央に置く。
② 目盛り竿を釣り合わせるには、分銅皿に分銅を追加し、目盛り竿の送りおもりを左右に動かし釣り合いを取る。
③ 目盛り竿の読み取りは、読み取り指標のある側の目盛りを読む。
① 2台の台秤を水平に差し向かいで設置する。
② 計量台に半切りをバランス良く静置する。A秤とB秤の表示がほぼ同じ数値になるようにし、位置をマークする。
③ 半切りの風袋は、AとBの合計になる。 15.2+15.8=31.0kg
④ A:15.2 B:15.8の目盛り位置を固定して「風袋」とする。続いてAとBの分銅皿に150kgの分銅をのせる。
⑤ 容器の水を半切りに払い出す。
⑥ 左右いずれかの秤の分銅が上がり始めた時に水を止める。
Aの台秤164.4kg Bの台秤165.6kg は、風袋=31.0kgを含んでいる。
AとB2台の合計重量は、164.4kg+165.6kgで計330kgと 竿で補正した風袋31kg
半切り内の水の正味重量は、330kg - 31kg = 299.0kg
⑦ 採尺後の半切り内の水は、サイホンの原理で排出し、次回計量する水を受け入れる前に毎回風袋を確認する。
⑧ 払い出す水の量は、測定区分に指定される数量より少なめに払い出し、微量の調整はビーカー等で行う。
目標数量より多い場合には、次回の払い出しに入れて調整する。(1リットル未満の数量は全体量に及ぼす影響は少ない。
採尺寸法と払い出し量は前後で相殺される)
【step-3】底板面以下の容量
底板面以下の容量は、一括して全量を測定する。
1)底板面をどの位置に設定するかは、深さを測ることが可能な範囲で、任意とするが、底板面以下の容量は、
空寸として認識されないため、その点に十分留意する。
2)底板面以下の容量は、デジタル秤を使い片面、胴面、に用いた方法により、秤取る容器の風袋を引いた
正味重量の累計として1kg=1ℓとして計測する。
【step-4】容器検定(水検)実績表の作成
参考:エクセルで作表すれば、さほど難しくない。
【容器検定実績表の記入】
1)タンクを設置し、容器検定を実施するには上記に示すような野帳(フィールドノート)を事前に用意する。
2)実際の容器測定は、「空積差」として、水を払い出し、その時点での空積差を都度記入する。
3)記入欄の説明
回数:払い出し回数
空積深:口径面を空寸“0”とし、払い出した容量に対応する深さを測定し都度記入していく。
測定容量:肩面まで(肩面)肩面から底板面まで(胴面)の容器サイズに対応する払い出し容量に応じた
実際の容量を記入する。
4)口径面から肩面までの測定
参考:現場での容器測定作業は、①水を出す人 ②尺を採る人 ③実績表に記入する人3名で行う方が間違いがおこりにくい。
5)胴面から底板面までの測定
参考:検尺時に前回の水位後が残る事が無いように、尺をドライヤーで乾燥させるとよい。
6)底板面以下の測定結果とその他必要事項
A:容器番号 1111 ホウロウタンク 測定位置検尺口 中心深 3220mm
B:測定年月日 H16.7.1 天気晴れ 室温20℃ 水温15.6℃
C:底板面以下の測定 流量計 1580ℓ 他重量換算 正味20ℓ
水検実績表には、空積深、空積差、測定容量は実測値に基づき計算し記入し、その他測定した
日時等必要事項を記入する。
肩面、胴面、底板面の全ての測定が終了した後、「空積深の測定実績」を「入実深での測定」
として換算変更し実績表を完成させる。
【step-5】容器台帳作成と製造設備申告書作成
1)容器検定実績表を基に「容器台帳」を作る。
2)容器台帳を基に「2mm表」を作る。
3)容器台帳を基に、酒類 酒母 もろみ「製造設備(移動)申告書」及び 製造設備(異動)
申告書付表(容器の容量の測定事績の明細)に必要事項を記入し、所轄税務署に提出する。
以上で容器容量の測定(水検)に関する資料とします。
【容器容量の測定のチャート図】
【step-6】補足説明事項
1)タンクの設置(固定)について、現在酒造用のタンクについては、特別な基準はない。
しかし、最近の大規模地震等の被害状況を見れば、給水設備の屋外受水槽に及ぶ被害の大きさは
想像を超えるものがある。市水を用いる場合の水槽の設置に関しては、建築基準法に「六面点検」
と呼ばれる厳しい設置基準がありタンクの基礎を固め、タンクと床面をボルトで固定し、
さらに四面と上下二面の目視確認を可能とする設置が決められており、地震に対しては、
基準を満たす基礎により横揺れ震度1.0 Gを耐震基準としている。
今後は屋内に設置されてきた酒造用タンクの床面への固定は必要事項になるであろう。
屋外受水槽40キロリットル
タンク底面は、液の排出を考慮し予め傾斜をとり設計されている。
2)酒造設備として従来は、タンクを沓石(陣石)に乗せる事で済ましていた。将来耐震性を考慮すれば、
床面とタンクを固定するには、次のような設置方法が推奨される。
ただし、タンク底部をジャッキで持ちあげ傾けて酒を出すことは事実上できない。
タンク脚柱式固定
タンク脚柱をアンカーボルトで固定する。
沓石にアンカーボルトで固定し更に沓石を床に固定する。
-NYK西日本による図面提供-
コラム勝木氏 コラム

勝木氏 コラム
第二十三話 「容器検定」後編
日本酒醸造界のレジェンド、勝木慶一郎氏による連載コラム第二十三話の後編です。
今回は、タンクなどの容器について詳しく解説して頂いています。

醪タンクと酒母用 高野槙の壺代
勝木 慶一郎氏 紹介
・醸造家酒造歴:50年、佐賀 五町田酒造45年、京都 松本酒造5年
・特技:酒造工程の改善、SDKアルコール分析法の考案
・趣味:写真機、世界中のBeerを一種類でも多く飲む、真空管ラジオで短波放送を聴く